絵付けの基─その繋がりと広がり3─
2024年6月24日
“絵付けの基その繋がりと広がり2”のつづきです。
これまで筆によるストロークが、磁器上絵付け、特にマイセン絵付けにおける基礎となる技法のひとつであり、異なるスタイルの絵付けへも応用されていくものであることをお伝えしてきました。
─その繋がりと広がり1─で、中でもマイセンが“ストローク”に特化性を与え、それを進化、昇華させた窯元だと言えるのではとお話ししましたが、他の窯元の絵付けにも“ストローク”という存在は技法の中にあるものと考えています。
マイセン花の絵付けの花弁が“ストローク”で構成されているのが目で見て取りやすいのに対して、例えばヘキストスタイルでは線描きと“塗り”で構成されているように見えなくもありません。(全ての花の花弁に当てはまるわけではありません。)
ですが、カラーの入った筆の毛束を白磁に着地させてひと塗り、筆をあげて次の着地点でまたひと塗り、それを繰り返し形とするためのひと塗りはまさにストロークと言えると思うのです。
マイセン絵付けの中で、ストロークによる“塗り”を思い起こさせるモチーフの1つに、マイセンピンクローズが挙げられると思います。ローズアップルと呼ばれる中央の球体を描く工程です。
生徒様から「歪な形になってしまう。」「ムラになってしまう。」というお声が多く、その理由についてご質問いただくことがあります。
それにはいくつかの原因がありますが、そのひとつに「一本一本のストロークが行きつく形になるかどうか」ということがあります。
こちらの画像は、スーザン先生がブーケに含まれるピンクローズを実演したに録画した動画を1コマずつ画像にしたものです。(左上がスタートです)
スーザン先生に伺ったことがあるのですが、「ストロークの長さやカーブの角度調整、途中で太くしてから細くしていくなど、思うように筆を走らせることで塗り重ねてもその筆筋は自然な流れになるわよ。」と。そして続けて「ムラはあっていいのよ。それは人の手で描かれたという証なのだから。ポイントは題材の持つ自然な流れに沿っているか。」と。
狙った形のストロークを描く練習は、思うように筆を操る練習でもあります。本番前のウォームアップに如何でしょうか。