どこまでこだわる上絵付け?-必要な物とあると良い物3-
2024年10月6日
同タイトル3話目です。前回までは必要な物についてでしたが、今回は”あると良い物”についてです。
“あると良い”ということは”無くてもよい”ということでもあります。あくまでも当校が”あると良い”と考えるところです。
窯元それぞれに個性や特色があり、使われる道具や材料もそれぞれ違いや工夫があると思います。
教室においても各々にそれらがあるものではないでしょうか。
当校が”あると良いもの”で先ず思い浮かぶのは、アームスタンドです。磁器上絵付けのキャンバスとなる白磁器を固定させるためになくてはならないものです。
右手で筆を握る方を例にするならば、右前腕をアームスタンド上に置き、左手で持った白磁の1ヵ所または2ヵ所をアームスタンドの下面に当てて使用します。
こうすることで筆を持つ方の手首の可動域が広くなり、白磁がしっかりと固定されれば、美しくスムースなラインやストロークを実現しやすくなります。
原理もシンプルで、上からの力と下からの力で挟むことによってより安定させるため、使う時に設置すればよく、とても理にかなったツールだと思います。ヨーロッパの著名な窯元では、アームスタンドはなくてはならない存在です。
次に思い浮かぶのは”椅子の高さの調整”です。調整方法はどのようなものでもよいかと思います。調整機能の付いたデスクチェア―だったり、ダイニングチェアーに座布団やクッションを置くなど、大切なのは描く姿勢に合わせて椅子の高さを調整する事です。これは身体への負担軽減にも繋がることなので、当校でも時々生徒さまにお声掛けしています。
そして作品制作中の手元を照らす光源、電気スタンドです。キャンバスである白磁器は角度によって光を反射するので、前後左右、そして上下に可動するタイプのほうが調整がし易いでしょう。また眼に光が直接入らないよう、スタンドの笠を少し下に下げることで負担や疲れを軽減できます。
今回は、”絵付けを始めるにあたって”を前提に、当校の考える必要な物とあると良い物についてお話ししました。「これから絵付けを始めてみよう」とお考えの方や、これから先、磁器上絵付けに興味を持たれる方の参考になればと思います。
絵付けをされている方は、既に様々な工夫をされていることかと思いますが、試してみてもいいかもと思えるなど、より良い絵付けの環境作りの参考などになれば幸いです。