スタッフブログ

マリア ジビーラ メーリアンとFFブルーメマーレライ

 2020年4月5日

「マリア ジビーラ メーリアン」は、17世紀の植物画家で自然科学者でもあったマリア・ジビーラ・メーリアン女史の植物・昆虫画を元に描き起こされたシリーズです。

マイセンやヘキストなどの窯元でシリーズ化されています。
当教室のためにスーザン先生が描き起こしてくれたティーセットは、どちらのものかと先生に聞いたところ…
「どちらの窯元のスタイルというのはなく、マリア ジビーラ メーリアンよ!」
と答えてくれました。ヨーロッパの絵付師たちは、メーリアン女史に敬意を表して原画に忠実に再現することを心掛けるそうで、そういったリスペクトからボーダーレスに捉えられているそうです。

下写真は当教室にある「マリア ジビーラ メーリアン」のティーセットです。
各アイテムに描かれた絵はそれぞれ魅力的でまるで植物図鑑のようですが、やはり各白磁の形に合わせてモチーフがバランスよく配置されて、考えられて描かれているということが分かります。

以前、スーザン先生が話してくれたことがあります。
「複数のアイテムで構成される”セット”を描くのは、絵付師のセンスが問われる。各アイテムで見たときは良くても、全体として見たときのバランスを考える必要がある。」
そう言われると、例えばカップとソーサーの色のコンビネーションや各モチーフのサイズや配置。大きなアイテムである、ポットにふさわしい絵かどうか…など、考えることはたくさんありそうですね。

このモチーフは、何度かロイヤルコースで取り上げたことがあります。
ファーストステップは、ペンによる線描きです。
細く繊細に、花の影となる箇所に適切にラインを描き入れます。
このラインを入れすぎてしまったり、誤った箇所に入れたりすると
花びらの柔らかさや立体感を損なうので、花の影を正確にとらえる必要があります。

マリア ジビーラ メーリアンの1st・2ndステップ見本

セカンドステップ以降は筆で色を入れますが、色についてスーザン先生は「メーリアン女史の原画に添っているのよ」と話しています。でもやはりペインターのセンスが反映されているのを感じます。
深くソフトで絶妙な色合いで、植物画であっても白磁の上にあって美しいと感じる色調です。

このマリア ジビーラ メーリアンをより精密に絵画的に描いたものが”FFブルーメマーレライ”。思わずため息がでる逸品です。
“最高の絵付師が描く最上級の花”という意味を持つシリーズで、メーリアン女史の原画が元になったものを指すそうです。
つまり、”FFブルーメマーレライ”は”マリア ジビーラ メーリアン”の延長線上にあります。

2月の来日時、スーザン先生がこんなことを話してくれました。
自分が蓄積してきたヨーロッパの深く素晴らしい伝統技術や知識をピュイダムールを通して伝承していきたいと思う。(感激しました!)

これからも、さまざまな角度から、ヨーロッパの上絵付けの世界を
掘り下げてお伝えしていこうと思います。

スタッフブログ一覧へ戻る