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オイルポットの不思議

 2021年1月11日

“オイルポット”という存在をご存知でしょうか?
ヨーロッパの窯に所属しているプロのペインターで、油性の絵付けをする場合は常用している思います。
下写真は、以前特別につくってもらったもので、当校講師が長年使用しているものです。

ヨーロッパの主要な窯元で使用される油性オイルは、ディックオイルとターペンターオイルだそうです。(スーザン先生談)少なくとも、マイセン、ヘキスト、KPMでは、この2つのオイルです。
当校でも、色を溶くときも描くときもこの2つのオイルを使用します。

ここからは、具体的にどこに何がどうなっているのか?ですが、想像を膨らませて読んでください…
まずオイルポットの中央の小さなカップのなかに、ターペンターオイルを入れます。周囲には、はじめだけほんの少しディックオイルを入れます。呼び水のようなものです。使わないときは必ず蓋をします。
時間の経過と共に、周囲のディックオイルが増えていきます。

ディックオイルがなぜ増えるのか?オイルの特性を知り尽くしているスーザン先生にとっては、当たり前なのですが、私たちにはとても不思議な現象でした。
上写真の外側のくぼみにあるのは、確かにディックオイルなのですが、足したわけではありません。自然に増えたものです。
ある日スーザン先生に尋ねました。

中央のカップに入れたターペンターが側面をのぼり、周囲のくぼみに落ちていくそうなんです…(揮発しているわけではなく)
これはターペンターの特性だそうです。
確かに、オイルポットの側面にはオイルが垂れたような跡があります。

ちなみに、どのターペンターからもディックオイルができるわけではなく、クオリティによるそうです。

上写真のオイルポットは、使用から10年以上経ちます。
ディックオイルがだいぶ溜まってきたので、そろそろ外側にもう1周、増やす必要があるかもしれません。

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