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絵付けの様式や方式

 2018年4月19日

古くからヨーロッパに伝わる欧州磁器上絵付けを端的に言うと
“オイルで練った顔料を用い、白い磁器に筆で絵を描く技”
でしょうか。
時代の流れの中、マイセン磁器製作所をはじめ多くの窯元で、様々なモチーフや絵付けスタイルが生まれ、今では多種多様な作品が存在しています。

そもそも”スタイル(様式・方式)” “シリーズ”とは、どのようなものなのでしょうか?
このロイヤルクラス日誌や当校の公式facebookinstagramなどに掲載するとき、教室で生徒さまとお話しするときなど、少しややこしいと感じる時があります(笑)。

“様式”で思いつくのは、窯元の名を冠する “マイセン様式” や “ヘキスト様式”。
各窯元の絵付けそのものを指していて、とてもわかりやすく単純明快です。
他にも、様式が確立していて、そのまま工房名になった窯元を挙げると…
KPMやフュルステンベルグ、ルードビスクブルグ、ロイヤルウースター、ヘレンド、アウガルテンなど。

ヘキスト様式

様式=芸術作品を特徴づける統一的な表現、方式=決まった形式や方法
は、それら各窯元のずばり制作工程そのものと言えるのではないでしょうか。
日本でいうと”・・・焼”ですね。

それとは別に “~様式” と呼ばれているものが、例えば”アルテマニア様式(Alte Manier)”。
マイセン磁器製作所で長年、トッププロペインターとして、多種多様な絵付けを任されたスーザン・クノブロッホ(当校ロイヤルクラス担当講師)先生の話では、マイセンの絵付け師の間で用いられていた用語のようです。
描き方(技法)や道具(筆)からなるものと考えられるのではないでしょうか。

マイセン様式

様式なのか?シリーズ名なのか?区別しにくいものの代表として、”マリア・ジビーラ・メーリアン”が挙げられます。
17世紀の植物や昆虫などを詳細に描いたことで知られる画家で、自然科学者でもある女性の名前が、そのまま”シリーズ名”として、広く親しまれています。

この “マリア・ジビーラ・メーリアン”は、マイセンやヘキストでも描かれており、ペインターの間でも、その名称で呼ばれているようです。
当然、窯元によって、制作工程の中で随所に使われるカラー、その組み合わせに工夫が施されており、長年に渡り、受け継がれてきた色彩や技法といった絵付けの方程式、経験や知識などは異なります。

こういったことから、”マイセンのマリア・ジビーラ・メーリアン様式”、”ヘキストのマリア・ジビーラ・メーリアン様式”となりえるのではないかと思うのです。
(マイセンの”マリア・ジビーラ・メーリアン”はさらに他の様式”FF.ブルーメマーレライ”にも関連します。>>マイセン 花の絵付けについて-2

マリア・ジビーラ・メーリアン

作品を鑑賞するとき、描いてみるとき、その絵付けのスタイルを知っていることで、より楽しいものとなり、見えてくるものがあるように思えるのです。
その2では、様式の中で分類されているシリーズやジャンルについてお話ししようと思います。

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