絵付けの様式や方式–2
2018年8月9日
以前、私個人の見解ではありますが、日誌 “絵付けの様式や方式” でジャンルやシリーズとはどのようなものなのかに触れました。 今回はそのつづきです。
まずは前回のおさらいです。
様式とは、例えば、世の中で認知されているマイセン磁器製作所の作品を制作するための技法そのもの。
窯元の名を冠する様式 “マイセン様式”、“ヘキスト~”、“フュルステンベルグ~” などは大きな括りと言えます。
次に、“アルテマニア様式” のように特定のスタイルを指すもの。
“様式”とは付いていないものの省略されていると考えられるものに “マリア・ジビーラ・メーリアン” や “オールド マイセン” 、“FF.ブルーメマーレライ”など。
これらは特定の作品や作品群、通常のラインアップと位置付けられる製品とは一線を画す、独自の特長が明らかです。
さて、では、ジャンルとは?
大きなところでは、フラワー(花)やアニマル(動物)など題材のカテゴリー、ヒストリカル(歴史的)やモダン(近代的)のように時代、ネイチャー(自然主義)など表現、単色や多色といった使用色、このような感じではないでしょうか。
例えばフラワー(花)。
スーザン先生と話していると、マイセンの花のモチーフについては、他に類をみないほどの様式やジャンル、そしてシリーズが存在することがわかります。
(参考:“マイセン 花の絵付けについて” )
当校には、スーザン先生が描いた花の絵付けが、数百点あります。
それらを大きくわけると、トラディショナル、ネイチャー、ヒストリカル、モダン。さらに単色、多色等々….。
マイセンには、膨大の数のモチーフが存在します。
あまりの多さにそれぞれのモチーフを紹介する際、どうお伝えするべきかわからなくなるほど……。
それをすこしわかりやすくしてくれるのが、ジャンルの中にあるシリーズと考えています。
ヨーロッパ最長の歴史を誇るマイセン磁器製作所は、参考用のカタログはあるが、商品カタログを作ることは不可能と言うのも頷けます(笑)。
特に花のモチーフとなると、ペインターに委ねられるパートがありますし、下絵からフリーハンドです。
花の向きや添え花の種類、葉の向き、位置など、ペインターの個性が出ます。そうなってくると、同じ番号のモチーフでも、表情が異なるものになりますよね。
ちなみにスーザン先生、ご自分の描いた絵、敬服している、あるいは知っているペインターの絵は、書籍に載っている写真からでも判別することができます(すごい!)
プロのペインターたちは、限られた時間内で、工房のクオリティを満たす絵を描く、同じ印象に見えるような製品を描くことを訓練されています。
それでも、誰が描いた絵が分かるって、すごいことだと思いませんか?