よく伺う質問:焼成回数について
2019年11月28日
こんなご質問を受けることがあります。
- 焼成回数が少ないほうが上手、と聞いたのですが本当ですか?
- 焼成回数はあまり多くないほうがよいと聞いたのですが?
焼成回数が少ない=上手というのは、誤解です。
熟練のペインターであるスーザン先生にも確認したことがあります。
先生のコメントはこんな風でした。
工房で仕事として描く場合、状況によっては、焼成の機会を思うように持てないことがあるかもしれないけれど、焼成する機会が持てるなら、適切なステップで焼成をするほうが、当然良い結果になる。
他のヨーロッパの窯元からペインターが来日し、当校で授業をしたことがありますが、どのペインターも、焼成回数を敢えて少なくするようなことはなく、適切なステップで焼成をしています。
ポイントは、そのモチーフの表現方法に合わせた”適切なステップ”ではないでしょうか。
例えばマイセンのフルーツや鳥などのナチュラルペインティングの場合、焼成前に同じ個所にフレッシュ オンを繰り返すことがあります。
先日、授業で完成した”マイセンの天使”やポートレートの場合、肌を少しずつ色を塗り重ねることになりますが、都度焼成することになるため、回数は増えます。
これとは別に、”ソフト”よりも”クリアさ”が求められる、トラディショナル マイセン フラワーは、ステップ毎に焼成を挟むほうが、より良い仕上がりになります。
焼成回数は多くないほうがよいか、ついてですが白磁(釉薬)のために、過度な焼成は控えたほうが良い、ということが言えるようです。
当校のカラー、オイル、白磁の場合、8~10回の焼成でも問題が発生したことはありません。
余談ですが、先日、生徒さまから異口同音にこんなことを言われました。
上絵付けって、時間と手間がかかる…。だからいい!
焼き物は、劣化することなく、人に残せるものだから、丁寧に時間をかけて、完成度の高い作品にしたい。
完成度を求めれば、それだけ悩みや疑問も生まれます。
そんな悩みや疑問に、これからもお答えしていきたいと思います!