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白磁の魅力

 2019年8月19日

生活の中で使われるものから空間を演出するものまで、幅広く多くの種類が存在する磁器製品。
ヨーロピアン ポーセリンペインティングでは、絵付けのキャンバスでもあります。

スーザン先生の作品やクラスで使用する白磁は、提携関係にあるマイセンやKPMのものが多いのですが、それらとは別に、開校以来お付き合いのあった他の窯元の磁器もあります。
自社で製造していた頃のヘキスト(※1)の磁器、今では見る機会の少なくなったドレスデン(※2)の白磁など。様々な窯の磁器を手に取って見ると、材料である陶石や釉薬の違いによる白の色合いや光の屈折が生む滑らかな光沢、職人の手による造形やメッシュホールの抜きなど、それらに込められた想いを感じます。

長い歴史の中で人や技術が行き交い、各々の窯で趣向を凝らして作られてきた様々な磁器。
時にこの窯元でこの磁器が?と驚かされるものもあります。
当校の公式インスタグラムでご紹介したことのある鳥のフィギュリンは、実はドレスデンのもの。
マイセンでおなじみの『猿の楽隊』(下写真)の白磁は、なんとドレスデン!

素材となる紙や麻の種類により、作品の出来を左右するキャンバスと同様に、白磁器とは上絵付けの描き手にとってこだわり楽しむことのできる、飽くことなく愛でることのできる作品を生む鍵のひとつなのかもしれませんね。

余談ですが、白磁は劣化することはなく、匂いもつかず、洗えばきれいになり、造形の幅も広いです。
”ガイシ”をご存じでしょうか?電線とその支持物とのあいだを絶縁するために用いる器具です。ガイシは白磁でできています。
秋になれば、空を見上げることが増えることと思います。
ぜひ、ガイシを見つけてみてください!

※1)ヨーロッパで3番目、ドイツで2番目に古いと言われている工房。硬く薄く、透過性が高い白磁です。2010年頃、磁器の自社生産から外注に切り替わったことで質感が変わったように思います。

※2)ドイツ ドレスデンにある工房の中で、唯一、自社で素地(白磁)の生産、絵付けを行っているカール・ティーメ工房(SPドレスデン)。

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