スタッフブログ

どこまでこだわる上絵付け?-筆へのこだわり2-

 2025年8月28日

どこまでこだわる上絵付け?シリーズ”筆へのこだわり1”の続きです。
今回は”筆は何本くらい持っていればいいの?”についてお話ししたいと思います。

当校のレッスンモチーフの現物見本や展示作品を初めてご覧になる方々から「これらの作品はどんな筆で描かれているのですか?」と質問を頂くことがあります。
使われているのはリス毛の丸筆で、大きく分けて3種類(スモールミドルのショートとロング、そしてドローイング)、場合によってもう1種類(ローズ)を加えた4種類の筆とお答えしています。それに対して「そんなに少ないのですか?!ではこちらでお習いするとしたら筆は3、4本あれば大丈夫ということですか?」と尋ねられることがあるのですが、そういうわけではありません。

以下の理由により、追加される場合があります。
・モチーフの種類による技法や描くパーツのサイズに違いがあること
・人の手により筆で描かれるということ
・筆は手作りで個体差があり、使っているうちに摩耗する物であること

ひとつめの”サイズ感”についてですが、例えば、スイカは大きな包丁、りんごはペティナイフなど小さな包丁の方が扱いやすく綺麗に切ることが出来ます。
筆もまた然りで、メインの花の大きな花弁は大きめの、添え花などの小さな花弁は小さめの筆の方が描きやすく綺麗な仕上がりに繋がるというわけです。マイセンやヘキスト、KPMなどの細やかかつハイディテールのモチーフの多いヨーロッパの絵付けではサイズの異なる筆の使い分けはより良い仕上がりにプラスになるものと言えるでしょう。

次の”描き手によるところ”ですが、描き手の数だけ筆の好みがあるもの。シンプルに大ぶりか小ぶり?また長めか短めの筆か?だけでなく、大きめなら短めを小さい筆なら長めを好むなどもあるでしょう。
よく耳にするわかりやすい例では、線描きに使う筆(ドローイングブラシ)について、長めがしっくりくる方もおられれば短めがしっくりくる方もおられるということではないでしょうか。

実は上述の”サイズ感(筆の・描く箇所の)”と”描き手の筆の好み”のふたつは複雑に関係しています。ひとつの例ですが、似たようなサイズの花弁であっても細長かったり丸かったりと異なる形だったり、薄くて柔らかい質感かそれとも厚めのしっかりした質感かで短めでフワッと広がる毛束の筆か、そうでなく長めで引っ張れる毛束の筆かなどそれぞれ別の筆が使いやすいということもあり得るのです。

さて、こうして話していると当たり前のこと過ぎてつい忘れがちになってしまいますが、それら全ては”筆”を介してのことであり、その筆とは”個体差のある摩耗していくモノ”であることが加わるわけです。

「ということは、もしかして筆って際限なく必要ということ?」と思われる方もおられるかもしれませんが、そういうわけではありません。
殆どの方が3、4本でしばらく過ごされます。はじめのうちは使いにくい/使いやすいも判断つかないかもしれません。
実は当校の講師もそうだったようです(笑)でも、スーザン先生がそうおっしゃるのだから…と。とにかく信じて、筆に手を馴染ませていったようです。

次回は”筆の個体差”そして”筆が摩耗していくということはどういうことか”についてお話しできればと思います。

スタッフブログ一覧へ戻る