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再掲:マイセン 花の絵付けについて-2

 2022年2月10日

以前、マイセンの花の絵付け“トラディショナルフラワーペインティング” についてお話しました。
ところでトラディショナルフラワーペインティング以外に、花の絵付けにはどのようなスタイルがあるのでしょうか。

花の絵付けについてスーザン先生に聞いたとき、感じたことがあります。
モチーフによっては、同じように見えるものであっても、様式と技法が異なる
場合があるようです。
マイセンのモチーフが、シリーズ名に代わって様式名で知られている場合が多いのは、このためではないでしょうか。

今回は、3タイプの花の絵付けの様式と技法について触れてみたいと思います。
絵付け師であるスーザン先生から聞いた話や、ロイヤルクラスで彼女が描いている
工程で見たことが基になっているため、一般的な説明とはすこし視点が異なっている
ところもあるかもしれません。

“FF.ブルーメマーレライ(FF. Blumemalerei 以降FF)”は“最上級の花の絵付け”と
名高く、ご存じの方が多いと思います。
そして“マリア ジィブラ メーリアン(以降M.S.M)”。ドイツの博物学者マリア
ジィブラ メーリアン女史の銅版画を元に描かれたものです。
いずれも銅版画ならではの細かな表現を混色で描いたものです。花々と昆虫が描かれるのが特徴です。

左:FF.ブルーメマーレライ 右:マリア ジィブラ メーリアン

左:FF.ブルーメマーレライ 右:マリア ジィブラ メーリアン

この二様式の大きな違いは、描き始めの工程です。“FF”は筆を用いるのに対して、“M.S.M”はペンを用います。
そして色付けの工程にも違いを見ることができます。“FF”は線を絶妙に重ねる工程がより多く含まれているのに対して、“M.S.M”はウェット オン ウェットの技法を用いて、より塗りこまれていると言えるのではないでしょうか。

RD_20160403_2次に“ボタニカル ペインティング”と呼ばれるものがあります。こちらは植物図鑑の絵のような絵付けです。
“M.S.M”よりもベースに描かれている線が少なく、基本的に単色、ところどころに混色が用いられているということではないでしょうか。

それぞれに特徴があり、素晴らしい絵付けです。
花の絵付け、花の描き方と言ってもほんとうに多種多様で、その奥深さをあらためて感じます。
今回お伝えしたのは、ほんの一部です。
またの機会につづきをお伝えできればと思います。そして“トラディショナルフラワーペインティング”のお話のつづきに辿り着ければと思います。

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