スタッフブログ

マイセンよもやま話

 2024年5月1日

ヨーロッパの名窯の起源ともいわれる、マイセン磁器製作所に関するちょっとしたお話しです。

マイセンにはシリーズ名がない?!

マイセンでは、すべてのモチーフが6桁の番号で管理されています。
絵付師たちは、6桁の番号で特定できる大きな括りから、自分でモチーフを選んで製品を描きます。
例えば、下の写真は、マイセンの裏面に描かれている番号です。(1点ずつ手描きです)040110/98とあります。


左側の6桁の数字では、2種類のお花と表現方法などが指定されており
お花の種類や色、組み合わせる花、花や葉の向き、葉の枚数などなど…絵付師の裁量で描くそうです。
(ちなみに右側の数字はペインター番号です)

面白いお話しがあります。
スーザン先生にある質問をしたことがあります。
製品として店頭に並ぶマイセンのお花には、ポピーが多く…スーザン先生のように
たくさんの種類のお花を見ることがない…なぜ?
答えは、ポピーは絵付師が描きやすいからだそうです(笑)
こんなお話しからも、絵付師チョイスであることが伺えますね。


絵付師は特定できる!

マイセンの製品は、手描きであるにも関わらず、さほどバラツキを感じませんよね?
養成学校の優良なカリキュラムの賜物です…

ですが…スーザン先生は、どの絵付師が描いたものか判断できるんです…
熟練した絵付師が描いたものに限ったことだとは思います。
人数が限られますし、描くものがハイグレードなものばかりになるので、各絵付師の独自の色の調合具合や描き込みに特徴が出るのではないかと想像しています。

写真は、当校のスタッフが所有するマイセンのソーサーです。
スーザン先生に見せた際、一目でどの絵付師が描いたのか特定できてしまいました…

ペインター番号で特定できるのでは?という考えも浮かびますよね?
ですがこの番号は、欠員が出れば他の絵付師に割り振られるそうですので、参考になりません。
スーザン先生が特定できるのは、優れた”目”を持っていることと、”リスペクト”からではないでしょうか。

スーザン先生は、自分以外の絵付師へのリスペクトを口にしたり、その著作について
尊重したりすることを当然のようにされています。

プロとしての意識、矜持の表れではないかと感じます。

私たちスタッフもスーザン先生に大きなリスペクトを持って先生の著作物に接しています。
クラスにおいては、著作者であるスーザン先生の伝えたいことに忠実であるよう、励んでいます。


絵付師の著作権

昨今、オンラインで様々なことが披露されるようになり、著作権に関する記事を目にするようになりました。
絵付けを楽しむ皆さまも、所属する団体で、著作権についてのお話しを受けてらっしゃるのではないでしょうか?

食器に描かれている絵は、著作権がないと思われがちですが…
実は、描いた個人が特定でき、芸術性が認められるものであれば
著作権が認められます。

前述のように、絵付師を特定することができます。
スーザン先生の作品については、ヨーロッパの美術館や第3者からも、スーザン・クノブロッホの創意が多分に含まれており、高い芸術性を持っていると認められています。

スーザン先生は、ヨーロッパの絵付け技術、表現の奥深さを皆さまに伝えたいと
深く考えています。
オンラインや本の画像は、残念ながら欠落している要素が多いです…
実際、ご見学にお越しくださる方々からは、感動のお声を伺っています。
ぜひ一度、実物をご覧いただき、肌で感じていただけたらと思っています。

余談ですが…..
コロナ禍でお休みしていたスーザン先生のクラスが再開する予定です!
公開デモンストレーションも再開する予定です。
日程など詳細については、当ホームページ、インスタグラムで公開します!

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