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どこまでこだわる上絵付け?-筆へのこだわり1-

 2025年8月1日

どこまでこだわる上絵付け?シリーズ序章とも言える”必要な物とあると良い物”の続きです。今回は”こだわり”についてのお話です。
お伝えするのは当校の”こだわり”であり、”こうでなければならない”というお話ではないことをお含みおきください。

こだわり編の第一回目は“筆”についてです。
“どんな筆を使っているかということ?”もちろんそれもありますが…例えば
・新しい筆を使う前にすることってあるの?
・何本くらい持っていればいいの?
・どんなふうに使い分けるの?
・洗い方に工夫は必要?
・適切な保管方法は?

など、そう言われてみれば?…と思えることもあるのではないでしょうか。
マイセン磁器製作所で長年に渡り、知識と技術を培ったスーザン先生から学び得た当校の筆へのこだわりについて、ほんの一部ではありますがお話しできればと思います。

当校で使用する筆は、平たく言えば“リス毛*1”に“鳥の羽管*2”を用いられた、マイセンやヘキスト、KPMなどの窯元で使用されている物と同じ仕様の物です。
筆には用途に合わせて毛束や毛先の形状が異なるものがあり、サイズも長いものから短いもの、太いものから細いものまでありますが、当校では上記3つの窯元から公式に推奨された、比較的細めで短めの丸筆を使用しています。これらの筆は職人の手作りで、リス毛も羽管も天然素材であるため、メーカーが定めている同じサイズの品番であっても太さや長さ、質感や形状に若干の個体差があります。

*1:生息する国や地域、リス科の類により毛質が異なります。
*2:近年、羽管の入手が難しくなってきているため合成樹脂の管が使用され始めています。

当校ではこうした筆を生徒さまに筆をお渡しする際、新しい筆を使い始めるための下準備を行っています。はじめに、メーカーでの生産時に糊で固められ保護されている毛束をほぐします。
次に筆毛を水に浸しながら粉砕された糊を除去した後、スーザン先生から伝授された方法で筆を整えます。最後に毛束に残った水気をペーパータオルに吸わせて下準備の完了となります。

筆ひとつにそんなに手間をかけるの?!と感じられた方もおられるかもしれません。
スーザン先生曰く「筆はそもそも繊細な道具。やり方を知らずに手を入れると余計に使いづらくしてしまうことがよくあるの。器用に細やかに行う必要がある作業だからポイントとコツを学んだ上で、練習と経験を積んでからでないとしては駄目よ。絵付師にとって大切な道具類の中でも筆は絵付けに直結しているある種特別なものだと言えると思うの。大事に扱うようにするのよ。」
そのため当校では、筆を整えるといった細心の注意が必要な作業はこちらでお引き受けしており、各生徒さまには筆を保湿することのみに専念していただいています。

時折、生徒さまがいつのも調子で描き進められていない…と感じると、筆の状態を確認し、手入れのためにお預かりすることがあります。
手入れの後筆を使っていただいてみると….それまで悩んでいたことがいたことが嘘のように(笑)描き進められる様子が確認できるとホッとした気持ちになります。
筆を正しい方法で手入れしていればよい状態を保てますし、絵付けの時間を心地よいものにしてくれるものと感じます。

また筆へのこだわりの続きをお話しできればと思います。

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